声楽基本編 呼吸法と発声は分けて考える

声楽基本編 呼吸法と発声は分けて考える

正しい発声を行うためには、呼吸器官と発声器官を完璧に繋ぎ合わせる必要があります。

ですから、呼吸と発声を切り離して考えることは出来ません。

しかし初期の声楽トレーニングでは、呼吸と発声は別々に考えた方が理解が深まり、その後の成長スピードも速くなります。

声楽のための呼吸には呼吸法のトレーニングがあり、発声には呼吸法で習得したテクニックをベースとした発声のトレーニングがあるからです。

極端なことを言えば、呼吸法のトレーニングをしている時には声を発しなくても良いのです。

ボイストレーニングの現場では、クネーデルになっている生徒ほど呼吸のトレーニングを無視して発声のトレーニングばかりやっている傾向があります。

ミュージカルは、ブレスコントロールを制した者だけが歌うことができるのです。

声楽の目的をわかりやすくする

当ボイストレーニングの目的は、ミュージカルの歌唱に必要な美しい共鳴を実現することです。
ミュージカルの歌唱に必要な美しい共鳴とは、とても軽く明るいカラリとした歌声のことであり、奥行きや深みそして力強さを合わせ持つ発声を指します。
※詳しくこの記事で紹介しています。
参考記事:「声楽基本編 呼吸法と発声は分けて考える」

特に『明るい音』と『強さ』という一見すると相反するようなテーマが、初心者には難しく感じるかもしれません。

こういった音の聞き取りは、英会話習得するところのリスニングを繰り返し行うことで耳が拾えるようになります。

最初は平面的に聞こえていた音が立体感を帯びて聞こえてきたり、明るい歌声と暗く曇った歌声の差がハッキリわかるようになります。

そこまでリスニングを続けて耳を鍛え上げると強く明るいサウンドがどのようなものかが、完全に理解できるようになります。

美しい共鳴を実現するためには、喉を下げて発声し高いポジションを維持する必要があります。
単純に、これはフィジカル的にとても初心者にはキツイ運動となります。

これは、WICKEDのDefying GravityやFrozenのLet It Go(日本では未だミュージカル未公開)のようなベルティングを多く使うような楽曲を歌うテクニックのことを指しているのではありません。
The Phantom of the OperaのThink of meやThe Little MermaidのPart of Your Worldのような楽曲においても、歌い上げるためにはとても強いフィジカルが必要で高いポジションを維持しながら全力で使います。
それを悟られずに何気なく演じるのがプロです。

その美しい共鳴を実現するという目的に辿り着くためには、どのような筋肉を使いどのような呼吸を行うと発声が可能になるのかについて実際にトレーナーの身体を使って説明します。

目的を明確に理解できるようになることで、現時点の自分には何が不足しているのかが手に取るように分かるのです。
日本人の場合、その不足しているスキルの大部分はフィジカルの問題です。

声楽の基本中の基本は、ブレスコントロールであり、「自分は、そのブレスコントロールを行うための筋力を持っていないのでは・・?」という理解ができるようになると自分がやるべき目標がしっかりと把握できます。

メンタルがその状態に達すれば、「今は徹底的に呼吸をマスターしてみせる」というステージになりますので、レッスン中だけではなく私生活の生活全般において正しい呼吸をするための動作で動くことを意識しはじめます。

生活スタイルそのものを呼吸を意識した動きに連動させるのです。

そうなると、成長スピードは加速します。

美しい共鳴という目的を理解→美しい共鳴の音そのものを理解→音を出すための原理(身体の仕組み)を理解→呼吸の改善という目標のために鍛錬する。
これが初期段階での声楽トレーニングです。

もちろん呼吸法を教えながら実際に発声も行いますが、声楽の初期段階では曲をフルコーラス歌うことは重要ではありません。
自分の発声する動作自体が間違っていれば、いくら発声しても永久にミュージカルを歌うことはできないからです。

発声と呼吸は連動しているため本来なら分けることはできませんが、呼吸法の理解度を高めるため、そして現時点の自分に不足しているフィジカルを上げることに集中するためには、初期トレーニングの段階では呼吸と発声を分けて考えることも必要な手段の一つです。

歌いたい気持ちを抑えて目的・目標をクリアするためにフィジカルアップに取り組みましょう。

声楽ではなぜ基本を重要視するか?

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声楽では、基本である呼吸法を重要視するには大きな理由があります。
それは、クネーデルになることを避けるためです。

発声の仕組みは、車に例えると理解が深まるため、このWEBサイトの他の記事でも頻繁にその例えが出てきます。

ここでも軽く触れておきましょう。

呼吸器官は、車で例えるとエンジンです。
小さなエンジンで早いスピードを出そうと頑張ると、排気音は耳をつんざくような音で鳴ります。

この耳障りな排気音がクネーデルの正体です。

空気を送る側(呼吸器)にパワーがなければ、どんなに喉をイジりたおしても大きな声は出ません。

もちろん美しい声も出ません。

その人が持っている最も美しい声は、喉が下がった状態で発声されます。

空気を送る側(呼吸器)にパワーがなければ、どんどん喉に力が入り喉が上がりまくってクネーデルとなります。

オペラやミュージカルは2時間以上あるわけですから、この2時間けたたましい排気音を聴かされる客は地獄です。
時々、こういった地獄に遭遇します。

呼吸法に違いはない

呼吸法はミュージカルもオペラもR&Bも全て同じです。

呼吸法は同じですが、発声は違います

それぞれのジャンルの特徴に合わせて発声がカスタマイズされます。

カスタマイズとはざっくり過ぎるぐらいざっくり言うと、裏声と地声の割合、リズム、節回し、歌い癖のことです。

ミュージカルの女王Sierra Boggessもオペラの生きる伝説パバロッティも、ディーバBEYONCEも同じ呼吸法です。

※ホイットニーヒューストン、マライアキャリー、ビヨンセ、レディーガガ、といった強いフィジカルで呼吸を行い、全力で歌い上げるタイプの歌手の呼吸法のことを指しています。
洋楽のポップスやR&Bのシンガーには個性を重視した歌唱法によって評価されている歌手も多くいます。
そういった個性を重視した歌唱法については、この記事に書いている呼吸法は当てはまらないことも多くありますのでご注意ください。

それぞれ発声が違うのです。

これは勘違いしやすいのでしっかりと覚えておきましょう。

勘違いする理由

海外ではこのような勘違いはないのですが、日本ではこのような勘違いはよくありますので珍しいことではありません。

それは私たちが日本人だからです。

日本人は、オペラやミュージカルなどを歌うために必要な呼吸法が苦手だからです。
身体で理解していないことが原因です。

逆に白人や黒人は、普段の会話から歌と同じような発声で話している人も多くいます。
身体で理解しているので「呼吸法はミュージカルもオペラもR&Bも全て同じ」といった理屈が理解できます。

オペラ歌手の呼吸法

一流のオペラ歌手は横隔膜肋間呼吸法で歌っています。

呼吸法の鍛錬は、地味で継続するのが難しい。
しかし、これをマスターし常にトレーニングしていないとあなたの横隔膜は使い物になりません。

詳しくはこの記事に書いてます。
参考記事:「ミュージカルボイストレーニングには手順があります」

世界一流のオペラ歌手は、呼吸法のトレーニングを繰り返し行い鍛錬に鍛錬を重ねています。大量の息をオペラは必要とするからです。

横隔膜が極端に発達していないとオペラを歌いこなす事ができないのは想像に難しくないでしょう。

百聞は一見にしかず
一度海外の一流オペラ歌手をステージに近い席で観ることをおススメします。
※日本ではなく海外のオペラ歌手です

お腹を膨らましたりへこましたりして歌っている歌手は1人もいません。
オペラのチケットは高額ですが、今後無駄な時間を使うより自分にとっては良い投資です。
百聞は一見にしかずですね。

ボイトレマッチでは、声楽で必要な呼吸法を横隔膜肋間呼吸と呼んでいます。

一般的に腹式呼吸というものがありますが、腹式という言葉がどうしてもお腹で呼吸をコントロールすることを連想させてしまいます。

お腹を膨らましたりへこましたりして腹式呼吸を覚えると間違った呼吸方法を身につける危険があります。

これに陥るとそこから抜け出すのが非常に難しくなってしまうのです。
ですからあえて横隔膜肋間呼吸と呼んでいます。

海外のコピーが一番コワい

海外の声楽トレーナーは、日本人のそのような呼吸メカニズムを全く知りません。

海外でレッスンを受けても、ほとんどが

「なんでコイツこんなクネーデルなんだ・・」
「どっから声出してんだ・・」

で終わってしまいます。

外国人の声楽講師は日本人のように手取り足取り教えてくれません。

それは彼らが怠慢なのではなく彼らには日本人の呼吸メカニズムを理解することが出来ないのです。

日本語の発声システムは、英語やイタリア語・ドイツ語に比べて特殊であり、それを理解して教える物好きなトレーナーはいないのです。

海外のボイストレーニングでは、生徒が横隔膜肋間呼吸が出来るのはあたり前ですから、発声に関する事と高いポジションを維持する事を重視します。

もちろん呼吸法も教えますが、それは横隔膜肋間呼吸が出来ていることが前提での呼吸法テクニックです。

陸上競技で例えると、どのような筋肉をもっと強化すれば早く走るかについては教えますが、「走るためには、まず二足歩行を覚えて、腕をもっと振ってバランスをとり両足を早く・・・」といったような走り方については教えません。

スタートラインが違う

日本の声楽の論理は、海外から輸入されたものです。

ほとんどが「外国人と同じ骨格や筋肉をもっていて、彼らと同じ発声システム」であることを前提として教えています。

日本の声楽の論理自体はもちろん正論ですが、私たち日本人はスタート地点が違うため、そのままコピーして実践することは成長の妨げになることもあるのです。

横隔膜肋間呼吸法を身につけるために

ここまで呼吸法と発声を分ける必要性を説明してきました。

ボイトレマッチには全くの初心者からプロで活躍し更なるレベルアップを望む人まで横隔膜肋間呼吸のトレーニングを受けています。

初心者もプロもトレーニング方法は同じです。横隔膜肋間呼吸に近道はないからです。
ですから、じっくりと取り組む必要があります。

呼吸法のトレーニング行うと発声した時にほどんどの人が喉がきりんと下がった状態で発声します。発声している自分もその音の違いをハッキリと聞き分けることが出来るぐらい響きが変わります。

しかし、残念ながら長続きはしません。それを持続するだけの筋力と持久力がないからです。しかも歌うと元の悪い発声に戻ります。

歌おうと身体が構えてしまい、元の悪い癖が出るからです。

それはこの記事に書いてあるようにじっくり取り組むことで、これは解決できます。
参考記事:「ミュージカルボイストレーニングには手順があります」

一度でも本当の自分の声の響きを聞き分けると、以前の声が気持ち悪くなります。
そうなることで、耳が育ってきます。

自分の耳を育てることも声楽の重要なトレーニングです。

耳が育ってくると、それまで聞いていたアーティストの声が細かく聞きわけるようになります。
声だけではなく耳も違う次元になるわけです。

この耳に関することは英会話のリスニングトレーニングに近い感覚かもしれません。

繰り返しますがタイヤやボディを変えても無意味です。エンジンを変えなければ今までと違う次元の声を出すことは出来ません。
あたなのエンジンをより高性能なものにするために、ボイトレマッチの声楽トレーナは全力でお手伝いします。