古典ミュージカルのレッスンでつまずく理由と解決法

古典ミュージカルのレッスンでつまずく理由と解決法

現代のミュージカルは様々な音楽ジャンルで構成されています。

ミュージカルで古典とされているものは、phatom of the opera(日本名:オペラ座の怪人) などがあり歌い方はクラシックの要素がとても強い。

Defying GarvityやThe little mermaid になるとポップスの要素が強くなり、school of rock だとハードロックが歌えなければならない。
中にはヒップホップのミュージカルまであるぐらいです。

ご存知の通り、日本のミュージカルはポップスの要素が強い演目が多く上演されています。
ロック系のミュージカルも時々ありますが、これは例外的なものです。

ミュージカルは演者泣かせ

現代ミュージカル特徴は、1つの演目でポップス的な楽曲もあればクラシック的な楽曲もあり音楽ジャンルが多彩なことです。
また、1曲の中でポップスとクラシックが混ぜてあったりすることもあります。

シーンによって歌い分けが必要になり、非常に難しい声楽テクニックが要求されます。

こういった歌い分けは、プロ・アマ問わずにつまずいている人も多いのではないでしょうか。

古典ミュージカルで必ずつまずく

ポップスは小さい時から、慣れ親しんだ音楽。ですから、生徒の理解も早い傾向にあります。

日本全国にミュージカルのボイストレーニング教室はたくさんあり、ほとんどがポップス的な歌い方を教えています。

問題は古典です。

アマチュアでもつまずくし、プロでもつまずきます。

古典は伸び悩んでいるプロもたくさんいるのです。

クラシックの勘違い

上記にこう書きました。

ミュージカルで古典とされているものは、phatom of the opera などがあり、歌い方はクラシックの要素がとても強い。

「クラシックの要素がとても強い」は「クラシックの歌い方」とイコールではありません。

呼吸法は全く同じですが、呼吸のコントロールはかなり違います。
発声は似ているように聞こえますが、かなり違います。
※ボイトレマッチでは、声楽を呼吸と発声を分けて説明します。
詳しくは、この記事を読んでください。
参考記事:「声楽基本編 呼吸法と発声は分けて考える」

ですから、オペラのどんな大先生に古典ミュージカルの歌い方を学んでもつまずきます。

ミスマッチの原因

先生によっては、ブロードウェイーで実力のある俳優の歌声を聴いて「この歌い方は間違い」「これはクラシックの世界では通用しない」と言う人もいます。

たしかにクラシックでは通用しません。

なぜならクラシックの歌い方ではなくミュージカルの歌い方だからです。
要するに古典ミュージカルの歌い方そのものを知らない先生もいるのです。

クラシックを専門的に教えているトレーナーは、古典ミュージカルの歌い方をクラシックの亜流と捉えます。

そこが先生と生徒のミスマッチになる原因です。

ルールを理解する

オペラにはオペラの声楽ルールがあり、評価基準があり、他のジャンルとは融合することのない価値観があります。

彼らは、その中で技術を磨き難しいアリアを歌い上げています。

そして、オペラファンの厳しい評価を受けながらレッスンを重ねて日々精進しています。
ですから、これはクラシックが良いとか悪いといった幼稚な話ではなく、

「だからクラシックとして何百年も生き続けて世界中のオペラファンを楽しませている」ということなのです。

それを知らずに、古典ミュージカルがクラシックみたいに聞こえるからクラシックの声楽のレッスンを受けると、あなたの価値観そのもを否定される可能性があります。

これでは、先生も生徒もすれ違うばかりです。

年齢限界説

オペラ歌手は45歳にピークを迎えます。
子供のころから歌っても、一人前になるにはそのくらい時間がかかるということです。

しかし、ミュージカルはそれでは遅すぎるのです。もっと若くして、成熟する歌い手に成長しなければなりません。

古典ミュージカルの歌唱法は、クラシック的な要素も強いので普通にトレーニングしていたら時間がいくらあっても足りません。
成長スピードを上げるためのレッスンが必要なのです。

時間との戦いに勝つレッスンが必要

古典ミュージカル、いやオペラでも良いのですが成長スピードは主に呼吸のコントロール能力によってクオリティの差が出ます。
呼吸のコントロールは主に、横隔膜や肋間筋などの呼吸筋とその呼吸筋を支える体幹によって行われます。

歌手は本来、一日に何時間も歌のレッスンを重ねる中でこういった筋力をつけていきます。

これをボイトレマッチでは、声楽に必要な筋力を筋力トレーニングと体幹トレーニングでつけてしまいます。

サッカーに例えると、プロサッカー選手は必要な筋肉をトレーニングジムで強化します。

サッカーの練習場で何度も走り、何度もシュート練習を行いサッカーに必要な筋力をつけているだけではありません。
これが成長スピードを格段にあげるためには必要です。
もちろん、筋トレだけやって発声が出来るほど甘くはありません。

パワーアップした呼吸筋力と体幹をフルに使って正しい発声に繋げるためのトレーニングも飽きるほど行います。
そうすることで、以前とは次元の違う歌うための発声を可能にします。

筋力アップも重要ですが、喉が下がった状態で呼吸と声を繋げるというトレーニングがとても重要です。
ここにも時間をたっぷり割きます。

ボイトレマッチのトレーナーは、呼吸筋や体幹のことを熟知しているからこそ、そのパワーから得られる呼吸を発声に繋げる術を知っているのです。

これは、自信の身体を鍛えぬいた声楽家にしか知りえない術です。

自覚こそが成長スピードのカギ

なぜ、声楽家が一人前になるのには時間が必要になるのでしょうか。

それには明確な理由があります。
答えは、発声するために必要な筋肉は見ることができないからです。

声楽家はアーティストでもありますが、アスリートでもあります。

身体が楽器だからです。

スポーツは、その競技が上手な選手のフォームを見て、真似ることである程度は上達することが可能です。
フォームとは、筋肉の動きですね。

声楽は、フォームを目で見て確認することが出来ません。
ですから、通常は筋肉の動きを予測するしかありません。
これでは、時間がいくらあっても足りませんね。

ちょっと絶望的な話しになってきましたが、それが声楽の難しくやっかいなポイントなのです。

しかし、目で見ることはできなくても身体で感じることはできます。

人間は、正しい発声のために必要な筋肉をトレーニングしてパンプアップすると声の響きが自然と大きく変わります。
ビリビリと鳴り響くのです。

しかもクネーデルのけたたましい鳴りではなく、その場の空気を大きく包み込むような優しい響きです。

聴衆が、何時間でも聴きたくなるような響きはプロの声楽家なら誰しも求める発声です。

その感覚が、声楽でいうところのフォームです。

これを継続することにより、その感覚が身体に染み込み自分のフォームが合っているのか間違っているのかが、自覚できるようになってきます。

その自覚こそが、成長スピードを加速させるカギなのです。

不安を克服

その自覚が目覚めてからも、トレーニングは更に続きます。

正しい発声を今度は歌にしなければなりません。
ここからは、とても細かい指導が入ります。

例えば、高い声に自信がない人は高い声になれば身体が強張りクネーデルになったり、スカスカになったりします。

不安が身体を支配しているから、筋肉がうまく動かないのです。
スポーツで言えばフォームが崩れるわけです。

その不安を徹底的に潰す指導を行います。
ですから、不安の要素を得意分野に変えるぐらい徹底的に改善します。

それをしないと本番の舞台で大変なことになるからです。本番では必ず自分の不得意なポイントが過剰なぐらいに不安となって頭の中を駆け巡ります。

ミスをしなくてよいところでミスしたりします。

緊張は大切ですが、過剰な不安は良い結果を生みません。

トレーニングしたことをきちんと本番で発揮できるようにすることも、トレーナーとしての大切な責務だと私たちは考えています。

古典ミュージカルの発声が与えてくれる宝物

古典ミュージカルの発声をクリアすることで得られるものは、たくさんあります。

他の人が苦手としている分野を圧倒することで抜きんでること以外にも、ベルティングボイスなど強いミックスボイスを高音まで引っ張るような発声にも威力を発します。

簡単に書きますと・・・・

普通の俳優は、ベルティングを使うと時、自分が持っている100%に近い力で発声します。
だから、高音の発声に力が入りすぎているため、音が固すぎて音声として不自然であり、聴いている方は少しくたびれます。

古典ミュージカルの発声をマスターすると、60%~80%ぐらいの発声で楽々と爆発的なベルティングを発声することが可能です。

もちろん、古典ミュージカルの発声をマスターしてからそれを地声に近いミックスボイスに置き換えるトレーニングが必要となります。

そういったトレーニングを重ねると、Defying GarvityやThe little mermaid といった現代ミュージカルを歌う時もそれ以前とは比べものにならないスケールで歌い上げることが可能です。

基礎体力の向上は、万能薬だからです。

ミュージカル俳優として、これ以上の宝物はありません。