オーデションはスーパーに例えるとわかりやすい
皆さんは、新鮮なお肉やお魚といった食材です。
審査員は料理人です。
あなたは絶対にお惣菜や冷凍食品になってはいけません。
ひょっとして知らないうちにあなたはお惣菜や冷凍食品になっていませんか。
デビューの勘違い
何度も何度もオーデションに挑戦するけど受からない・・・。
そんなボヤきは良く聞きます。
そして話を聞くにつれて全員共通してプロの歌手というものについて間違った認識を持っています。
プロの歌手になるためには、プロの世界のことを知る必要があります。
プロの世界とは音楽業界のビジネスモデルのこと。ビジネスモデルとは事業が収益を上げる仕組みのことです。
あなたがプロとして活躍するのであれば、そのビジネスモデルの中で仕事をするわけです。
あなたがお惣菜や冷凍食品にならないためにも、まずはビジネスモデルを知りましょう。
ビジネスモデルの説明の中で、なぜ食材じゃないとダメなのかがハッキリと理解できます。
ビジネスモデルの説明
レコード会社とデビューする歌手の関係は株取引と全く同じ。
レコード会社が投資家であり、デビューするあなたは投資される企業。
あなたが売れればレコード会社や所属事務所は投資した元手のお金を回収し、それに加えて利益を手にすることができます。
その利益がレコード会社の社員の給料になったり、借りている事務所の家賃になったり、あたなのプロモーション費用になったりする。
だからレコード会社や芸能事務所も必死です。
逆にあなたが売れなければ大損します。所属アーティストが売れずに大損が続けば倒産という未来が待っています。
ですからオーデションとは、レコード会社や芸能事務所が、「あなたが投資に値するか人物どうかを見極める機会」になるわけです。
音楽プロデューサーの立場を知る
音楽プロデューサーや音楽ディレクターと聞くと何だか偉そうと思うかもしれませんが、彼らはとてもプレッシャーの大きい仕事です。
自分が手がけた歌手がヒットしなければ自分の評価も下がります。
歌手には、オーデションに合格してから資金が投入(投資)されます。
プロデューサーやディレクターは、その資金をどのように投入し回収するかを任せられる立場と言えるでしょう。
だからこそ、オーデションでは審査員である新人発掘担当者・音楽プロデューサー・ディレクターにヒットするイメージを持たせることが重要なポイントになります。
これは料理人と食材の関係に似ています。
料理人はオーデション審査員であり、食材はあなたになります。
料理人は食材の鮮度のチェック、形、色、味、香り、などを見てたくさんの調理法を創造し料理を作り上げていく。
創造をかきたてられる食材であればあるほど、料理人は燃える。
逆に1種類の料理にしか応用できないような食材には見向きもしない。
オーデションに落ちる人は食材として魅力がないか、料理の過程を無視してお惣菜になっていることが多いのです。
オーデションに受かる人は?
上記のことから、オーデションにおける評価のポイントはその人のポテンシャルです。
ポテンシャルは可能性とも言い換えられます。
ズバ抜けた歌唱力の持ち個性があり過ぎる歌手よりも、歌手として完成されていないが魅力的な声の持ち主として印象を与えるべきです。
なぜなら、魅力的な声というものはプロデューサーやディレクターがヒットへの創造を掻き立てる一番の要素だからです。
彼らはヒットへのアンテナを常に張り、「次はこういうプロデュースをしてヒットさせたい」とイメージしています。
そのイメージにのっかることが、オーデションで勝ち抜くために必要なことなのです。
オーデションに落ちる人は?
この答えは簡単です。
オーデションでは審査員である新人発掘担当者・音楽プロデューサー・ディレクターにヒットするイメージを持たせない人。
具体的には・・
・歌のクセが強すぎる人
・誰かのモノマネ
・中途半端に上手
・声の響きに魅力がない
先ほどの料理の例とするなら食材ではなくお惣菜の人です。
お惣菜を希望する人は、自分でバンドを組みライブハウスでライブを重ねて地道にファンを集めることに向いているかもしれません。
レコード会社や芸能事務所の立場から見ると、お惣菜の人はヒットするイメージも沸かないし、育てる気にもなりません。
歌のクセが強すぎたり誰かのモノマネの歌い方は、ヒットへの創造を狭めるだけです。
中途半端に上手だったり声の響きに魅力がない人は「キミ歌がうまいね。頑張って・・・・」で終わります。
オーデションで勝ち抜くためには、新人発掘担当者・音楽プロデューサー・ディレクターに「こんな曲を歌わせたい」と色々な可能性を感じさせることが重要なのです。
お惣菜の人が陥る典型的な勘違いとは
歌手を例にあげるとプロとしてデビューするまでには2つの方法があります。
スカウトによるデビュー
ライブハウスなどでバンドやソロによる活動を行っており、既にある程度の人気があってファンも付いている状態。
フェイスブック・ツイッター・インスタグラム等のSNSでの影響力を持っている人。
スカウトによるデビューは、あらかじめファンがいる状態でのデビューになるので、レコード会社は投資したお金が回収できるという保険があります。
スカウトされる歌手は自身のスタイルが完成された状態にある。
そのスタイルに惹かれてファンがいるわけです。
ですから、歌手を育成するために投資(ボイストレーニングなど)はしません。
今以上にファンを増やすためのプロモーションに投資します。
オーデションによるデビュー
特にライブ活動などは行っていない。
ライブなどを行っていてもファンが身内だけな人もこの部類。
芸能事務所、レコード会社主催のオーデションに合格しプロになるためのトレーニングを受けてからデビューする。
オーデションによるデビューは、まず最初にあなたが売れる歌手になるための育成に投資をします。
そして、その準備が整ってから、あなたのプロモーションに投資します。
ですからレコード会社はあなたが育成してプロとして活躍できるまで育ったくれないと非常に困るわけです。
最高の食材になるためには
自分の声の魅力を最大限に引き出すことは可能です。
簡単には出来ませんが、きちんと努力すれば可能です。
声の響きの最大化
これを目的としてトレーニングを行います。
トレーニング手順はこの記事を次の記事を参考にしてください。
ミュージカルのボイストレーニングについての記事ですがポップスでもオペラでもR&Bでも同じです。
参考:「”ミュージカルボイストレーニングには手順があります”」
時間は有限で限られています。
他の余計なトレーニングに時間を取られては何も習得できません。
ボイトレマッチでは余計なことはやりません。とにかく限られた時間を集中的に使います。
人によって声質は違います。「自分の声の魅力は何か」を完全に認識しなければなりません。
あなたが認識していなければ、他人に伝えることなど不可能だらかです。
しかし、自分の声の魅力を認識している人はほとんどいない。
なぜなら一度もその声を出したことがないからです。
あなたの一番美しい声は横隔膜肋間呼吸のトレーニングを行うことではじめて発声します。
これは世界トップクラスで活躍しているオペラ歌手の呼吸法です。
あくまでも呼吸法の話です。オペラのように歌うという意味ではありません。
呼吸法と発声は良く一緒にゴッチャに教えられることがありますが、これは切り離して考える必要があります。
最高の食材になるためには横隔膜肋間呼吸のトレーニングを行い、何も着色されていないミックスボイスを発声できるようになることです。
ミックスボイスについては別の記事を参考にしてください
待ちの姿勢が大事
唐沢寿明は著書ふたりの中でこう言ってます。
「役者というのはある種、待ちの仕事だと思う」
彼は役者としてブレークするまでかなりの苦労をしている。だから言葉に重みがあります。
そして、待ちの姿勢は歌手にも完全にあてはまるのです。
「待ち」の姿勢は勇気が必要です。
待つということは受け身であり誰かに自分の将来を託すことだからです。
誰かに自分を託す勇気を持った者だけがオーデションを受ける資格を持っているのではないでしょうか。
プロになるということは、もう自分ではコントロール出来ない状況にいるわけです。
あなたを売り出すために何十人何百人というスタッフが動くわけですから。
あなたのキャパシティーをはるかに超えた要求が次から次へと飛んできます。
その時に応えらえるかどうかは、あなたがこれまでに蓄えてきた基礎能力です。
張りぼてのテクニックは通用しません。
これはボイストレーニングを受けるという行為についても全く同じことです。
あなたの声を魅力を最大限に引き出せるのは、ボイストレーナーしかいないわけです。
発声は必ず第三者の耳に判断してもらう必要があるからです。
これは例えばイタリアの著名なオペラ歌手でも全く同じです。
声の判断は自分の耳では出来ないのです。
ある意味、ボイストレーナーにあなたの将来を委ねるわけです。
ボイトレマッチのボイストレー二ングは、横隔膜肋間呼吸を可能になるための体力的なトレーニングや体幹トレーニングも含まれる。
ですから、正直に言いますと楽しいだけのトレーニングではありません。
しかし、ボイストレーナーと二人三脚で作り上げた身体は、どんな要求にも耐えうるだけの基礎能力を付けることが出来る事はお約束します。地道に努力を重ねたトレーニングは絶対に裏切りません。
無駄な努力は実らない
どうでしょうか?
あなたのオーデション対策は万全ですか?
もし、あなたが何度もオーデションに挑戦して結果が出ていないのであれば、再度あなたのスキルを見直してみることを勧めます。
ひょっとしたら、あなたの努力は空回りしているかもしれません。
努力とはゴールとの方向性が一致してはじめて努力になります。方向性が間違っていれば、無駄な努力。
無駄な努力は実りません。残酷なようですが、それが現実。
自分の歌唱法やテクニックに自信があってもオーデションに受からない人は、その歌唱法やテクニックを理解しない日本の芸能界の体質のせいにしてはいけません。
自分の声に自信があってもオーデションに受からない人は、意固地に自分を突き通してはいけません。
まずは呼吸法を見直すことからはじめてください。
胸式横隔膜呼吸を完璧にマスターし、発声から余計な雑音を全て剥がし、あなたの声の響きを最大化することに集中してください。
あなたの本当の声が、あなたの最大の魅力です。
誰かを真似して歌っている内はアマチュアです。あなたにしか持っていない武器を磨きましょう。
そうすれば何が起こるのか・・?
あなたの声が届くのです。審査員の耳とハートに。
そこが、あなたのオーデションのスタートラインではなのです。